2012年02月06日

埋没する史料

先日,県立図書館にて収集してきた資料を整理しながら,悔しさと憤りの入り交じった複雑な気持ちを抱いている。

旧全解連系の岡山部落問題研究所の研究紀要『調査と研究』には,今まで私が知ることもなかった史料や研究が多く掲載されていた。それらは研究所が所蔵している史料であり,その解釈と研究である。

私は今まで,どちらかといえば部落解放同盟系の研究書を中心に研究を進めてきた。それは部落問題に関する考えの相違からであったが,基本的にどちらに属するのでもない立場を守ってきた。
しかし,部落史研究において両組織の分裂と対立は,貴重な史料や研究を埋没させるだけであると,あらためて痛感している。

岡山の現状は散々である。岡山部落解放研究所においては貴重な史料や研究文献を保管しているセンターが係争中のため閉鎖状態であり,研究所員も少ない。以前のように気軽に訪ねて,書庫を調べることも教えを聞くこともできない。
岡山部落問題研究所については現在の状況をまったく知らないが,近年の研究紀要では部落史に関する研究成果は,ほとんど掲載されていない。
両研究所に保管されている貴重な史料類は,今後どのようになるのだろうか。日の目を見ることもなく埋没していくだけなのだろうか。


『調査と研究』に掲載されていた人見彰彦氏や大森久雄氏の史料紹介や研究を読み直してみたいと考えている。

特に,人見彰彦氏の「部落史のひとこま」はコラム的な短文ではあるが,研究所に保管されている史料を紹介しながらの解説であり,実に興味深い。

岡山藩における「穢多頭」に関する史料は,穢多の担った「御用」について詳しく,参考になる。治安維持や下級行刑に関する史料は,私が求めていたものである。
他にも「目明し」の実態,穢多との関係,キリシタン追捕,寺院と宗教など,私にとって重要な示唆に富んだ史料と研究である。

「捕亡吏」についても,穢多・非人は任命されていないと私は思っていたが,任じられていた史料(「其方共儀,改めて捕亡方頭取申し付候…」)が紹介されている。
さらに,解放令発布後に,持ち主による死牛馬の処分が命じられながら,「目明」役については従前のままとされた史料もある。

人見氏の紹介しているこれらの史料について検証し考察してみたいと考えている。特に,岡山における穢多・非人が担った下級警察などの役務,目明役に関して調べ直してみようと思っている。

できれば,原文を読んでみたいのだが…むずかしい。両研究所に保管されている史料を読解すれば,岡山の部落史も相当に解明されると思う。だからこそ,埋没していく史料が惜しいのである。

posted by 藤田孝志 at 16:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 断章と雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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