2010年08月01日

知的生活の方法

渡部昇一『知的生活の方法』を読んだのは高校時代だった。渡部氏の実践的知的生活に刺激を受け,そのストイックな知的探求の世界に憧れたことが懐かしいく思い出される。学問の世界を垣間見た思いさえした。単に読書というよりも本によって調べたり学んだりすることの素晴らしさ,学問や研究生活という世界に目を開かされたのも,この本の影響が大きい。

高校時代の恩師の家を初めて訪問した際,巨大な書棚に並んだ専門書を見たのが知的生活に憧れた最初で,小遣いから本を買い求めるようになり,いつかは書斎や書庫を造り,本に囲まれた生活をしようと思うようになった。

恩師の友人が静岡で牧師をしており,大学時代に訪ねたことがある。小さな住宅を兼ねた教会だったが,牧師館の書斎はもちろん廊下にまで積み上げられた多岐にわたるジャンルの書物に古書店にいるかのようであった。専門のキリスト教関連の書籍は英語・ドイツ語・ギリシャ語・ラテン語,さらにはヘブライ語まであった。わずかな時間であったが,大学生にとっては刺激的な一時であった。渡部氏の前掲書に書かれている世界を目の前に見るようであった。説教と祈りの生活と思っていたが,牧師というものはこれほどに学問研究を行うのかと驚いたのを覚えている。心臓病の大手術をされていて無理の利かない身体でありながら,なお真摯に学研生活をおくる姿に深い感銘を受けた。

私が教員を志した一因は,高校時代の恩師を通じて知った学問研究への憧れである。興味のある本を読み,関心のある専門テーマや専門の学問を追究していく。生徒との関わりに教師の醍醐味を見いだすのは先のことで,最初は知的生活への憧れであった。


大学受験を前にして,学問の世界,研究生活に強い憧れはあっても漠然と学校の授業だけで事足れりと思っていた私に,大学受験の厳しさと勉強のすごさを教えてくれたのは,オリオン社の通信添削だった。先輩に勧められて始めたのだが,問題の難解さと添削されて返される答案の情けなさに打ちのめされる日々だった。特に英語,英文解釈には自分の英語力どころか言語能力の低さを思い知らされた。

毎号の解説書の後ろに成績優秀者が順位とともに掲載され,何人かの近況報告的な伝言板もあったように記憶している。その先輩が常々言っていた上位者のコメントは羨望とともに絶望感を私に与えた。ほとんどトップを独走する彼は,時に学校をさぼり,授業を抜け出して裏山に寝転がり思索にふけっているという。超難関の英文を読解し,的確かつ語彙豊富な訳文を考え出す彼の存在は驚異であった。天才というものを実感した。

オリオンの添削担当者である多田正行氏が書いた『思考訓練の場としての英文解釈』(1・2)を購入して,幾度も挫折しながら何度読み直したかわからないが,その独自の英文構造理論には圧倒された。因数分解を応用しての英文読解法は目から鱗であった。辞書があればなんとか原書を読むことができるのも本書のおかげと思っている。また専門書であれ評論であれ,いかなる文章であっても構造的に読解するようになったのも本書によるところが大きい。

他にも現代文・日本史などオリオン社の通信添削では随分と厳しく鍛えられた。懐かしい思い出である。


『知的生活の方法』(渡辺昇一)にも情報整理の苦労が書いてあるが,実際問題として本や史料の整理と収納には苦慮してきた。買い集めても読む時間がなく積み上げていて忘れたり,コピーした資料を書類ケースのどこに仕舞い込んだか忘れたり…同じ本を買ったことなど幾度となくある。

十数年前,実家を新築した際に,書斎の壁面は作り付けの大型書棚にしたので相当量の本は収納できるが,それ以外にも書庫と玄関などに分散にして置いている。しかし,本も増え続けて,年に数回は分類しないと困る。さらに困るのが,本以外の資料の類だ。
本以外の資料は放っておくと整理箱や机上に積み重なってしまう。そこで,コピーした資料や薄い冊子,雑誌の類は整理して,印刷屋で製本するようにしている。ダウンロードした資料は,B5版に縮小・両面印刷をして26穴のルーズリーフノートに綴じるようにしている。これだけでも随分と片付く。

文具類を集めるのも趣味で,本屋と文具屋では時間を忘れてしまう。あひる企画も好きで,いろいろと新製品や便利なグッズを教えてくれる。

posted by 藤田孝志 at 01:19| Comment(1) | TrackBack(0) | 断章と雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
拙ブログで、
8月21・22日に
「多田正行物語1・2」
の記事を公開します。

ご高覧いただければ光栄です。
Posted by 若松若水 at 2017年08月19日 22:40
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。